ジョーvs力石!? 死闘の裏側を山下智久が激白!!
「あしたのジョー」完成報告会見&舞台挨拶
2011年1月17日

「あしたのジョー」の世界を彩った豪華キャストが集結しました!
<左から、伊勢谷友介さん、香川照之さん、曽利文彦監督>
1960年代後半から70年代にかけて人々の心を熱くした国民的漫画を実写映画化した「あしたのジョー」が、ついに完成いたしました。1月17日、東京・有楽町の東京国際フォーラムにて完成披露試写会が行われ、主演の山下智久さん、伊勢谷友介さん、香里奈さん、香川照之さん、勝矢さん、曽利文彦監督による舞台挨拶が行われました。
舞台挨拶前には記者会見も行われ、想像を絶するトレーニングと減量についてや、熱のこもった撮影の様子などが、山下さんらキャストの皆さんから語られました。過酷な撮影の中にもチームワークが生まれていたことなどが明かされた記者会見、ならびに舞台挨拶の模様をレポートいたします。
記者会見(挨拶順)
| 曽利文彦監督 |

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映画「あしたのジョー」は、スタートしてから足掛け3年になります。本当に長い時間がかかりましたけれども、スタッフ・キャストが一丸となって、本日まで頑張ってきました。今日こうして皆様に完成のご報告できることを嬉しく思っております。映画「あしたのジョー」をこれからたくさんの方に観ていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。 |
| 山下智久さん(矢吹丈役) |
| すごくたくさんのファンを持った国民的な漫画ということで、矢吹丈を演じさせていただくことへのプレッシャーがすごく大きくて、最初にお話を聞いた時には僕の器で大丈夫かと不安に思いました。しかし、僕自身も「挑戦していくことが大事だよ」と漫画から教わった気がして今日に至っています。本当に一生懸命作った作品なので、ぜひ期待してほしいと思います。よろしくお願いします。 |
| 伊勢谷友介さん(力石徹役) |

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本当に僕もこんなに大変だとは思いませんでした。力石役をやるにあたって、すごくプレッシャーを感じたんですが、それ以上のモチベーションをいただきました。トレーニングをして体をキープしながらの撮影でしたが、その想いがこうして形となりました。昔の話ではありますが、現代にも響くものになっているのではないかと観た後に思いました。 |
| 香里奈さん(白木葉子役) |

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私もすごくプレッシャーを感じていました。葉子という人は、すごく凛としていて強くて優しい女性だと感じたので、そういうものを表現できるようにやりました。この映画は男同士の熱い友情や絆を感じられる作品だと思います。それにちょっと嫉妬し、遠くから影で支えながら見ていました。私自身もこの映画を映画館に観に行きたいなと思っております。皆さんにも楽しんで観ていただけたらいいなと思っています。 |
| 香川照之さん(丹下段平役) |

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もしかしたら僕が、この中で一番プレッシャーがなかったかもしれません。というのは、「あしたのジョー」の世代であるということが一つの助けになりました。それと同時に、ご存知の方いらっしゃるかもしれませんが、僕はボクシングに人生のすべてを費やしてきたんです(会場笑)。だいたい一日に15時間ぐらいボクシングのことを考えているんですね(笑)。それも32年ぐらいになりますから、365(日)をかけていただくと膨大な時間になります。その中でこの丹下段平という役は、もしこの役のオファーが来ていなかったらきっと後悔したろうなと思うほど、僕がいろいろやらせてもらった役の中でも(思い入れの強さは)NO.1だったと思います。それほどボクシングを愛して費やしてきたので、すべてをこの映画の中に出せたと思っております。
僕を超える丹下段平は出てきてほしくない(会場笑)。この役が決まってから、「ものまね王座決定戦」でぐっさん(山口智充さん)がものまねをしていたのをYouTubeで観たんです。これは超えなきゃいけないと思いました。それで監督と話し合いまして、ぐっさんを超えるにはフルメイクしかないだろうと(会場笑)。とにかく、フルメイクで32年の想いをすべて賭けました。それが出ていると思います。どうか僕の特殊メイクを観て笑ってください。本当に泣けるいい映画になっております。この映画に出られて感謝しております。 |
MC: この作品にはマニアなファンの方が大勢いらっしゃいますが、映画化するに当たってどんな気持ちでしたか?
曽利監督:
そうですね。初めにお話をいただいた時は、「あしたのジョー」ど真ん中の世代ですから、あまりにも大きな話をいただいてプレッシャーというものを乗り越えてしまったんですね。そこから先は結構、気持ちいい世界なんですよ(会場笑)。だから、無の境地で臨めたかなと思っています。それぐらい、自分の中でも大きな作品なので、頭の中で考えるよりも行動するしかないという感じでした。
MC: 長い時間をかけて仕上げましたが、手応えはいかがですか?
曽利監督:
割とデジタル・CG畑で仕事をしてきたので、観客の皆さんにもそういったところをご期待いただいている部分もあると思います。今回もCGは使いました。日本では絶対に真似できないだろうというぐらいの最高級のCGを用意して臨んだんですが、できあがってみると全く関係なかったですね。ほとんど刺身のつま状態で、本当にこの映画の主役はひと、人間力なんだなと、自分たちで作っていながらひしひしと感じました。それはここにいるキャストの皆さんが体を張って、ひとの力で映画を作るんだと、そこに心を打たれました。CGももちろん一生懸命やりましたよ。でも、本当に情けないぐらい目立たないですね。ひとの力に圧倒されて、「この映画、本当に作って良かった!」と思いましたね。自分自身がひとの力を改めて見直せる、そういう映画になったなと思いました。
MC: お二人のトレーニングの成果を見た時にはどう思いましたか?
曽利監督:
もちろん感動するんですけど、男同士でこういうことを言うと誤解されるかもしれませんが、美しいと思いましたね。この二人ですから、試合のシーンなんかは彫刻が打ち合っているようでしたね。男性でありながら、「うわ、きれいだな」という印象でした。もちろん、迫力もありますし、男臭いんですよ。でも、美しい。そこがすごかったですね。
MC: 今回、日本一有名な矢吹丈を演じることが決まった時に、どんなことを思いましたか?
山下さん:
やっぱりまずプレッシャーを感じたのと、僕ができるのかなと不安に思いました。実際にお話を聞いてから原作の漫画を読んで、読んだ結果、挑戦していくことが大事というジョーからのメッセージを感じたので、これも何かの縁だろうと思って、覚悟を決めて撮影に入りました。
MC: 実際にトレーニングはいつから始めたんですか?
山下さん:
いろいろと仕事の事情がありまして、本当は一年ぐらいトレーニングしてからやりたかったんですが、実際には一カ月前ぐらいになってしまって、本当に時間のない中でどうボクシングと向き合っていくかが課題でした。
MC: 過酷なトレーニングと激しいボクシングシーンは、相当な負担となったのではないかと思いますが、実際のところはどうだったのでしょうか?
山下さん:
そうですね。ボクサーの体を作るために、初めて食事制限をしたのが辛かったです。でも、逆に食べ物のありがたみも感じられたので、それは良かったかなと思っています。スタッフさんやトレーナーさん、香川さんたちが本当に一つになって背中を押してくれたのでできました。
MC: 伊勢谷さんも相当、体をいじめ抜いたそうですが。
伊勢谷さん:
でも、香川さんには「伊勢谷、お前は体を鍛えればなんとなく芝居している感じになるからいいな」と言われました。事実そうなんですけど(笑)。でも、体を作ることで、それがお芝居にも表れてくるということだったんだなと、特に減量シーンをやらせていただいて感じました。(減量シーンの撮影で)現場に入った時に、助監督に「(撮影が)昼超えたらぶっ殺す」と言ってしまったことを謝らないといけないですね。(減量があまりにもつらくて)早く撮影を終わらせてほしくて、呼ばれてないのにずっと現場にいたんです。それで、なんとか昼前に終わらせてもらって、トレーナーが作ってくれたすっぽんスープを飲んですぐに帰って、次の日には「すみませんでした」と謝ったんですけれど、どれだけ食事制限というものが人の心に影響を与えるのかを知りました。小さいりんごがどれだけ素晴らしく、テンションのあがるものなのかと、まざまざと感じられたのが良かったですね。
MC: トレーニングではやりがいも感じたのでしょうか? それとも、ただただきつかったのでしょうか?
伊勢谷さん:
筋肉や肉体というのは物質的なものなので、ある程度の努力でどうにかなると思うんですね。それよりも、ボクサーに見えなければならないことが大事だったので、ボクサーをこれだけ見ていらっしゃる皆さんの前で演じるということが、さすがに怖かったです。でも、監督も仰っていましたが、プレッシャーを途中で忘れるんですよね。それは本当に楽しかったですね。そこまで全力で準備しているので、曽利監督が「気持ち良かった」と仰ったのはすごく納得しました。
MC: 試合前日の計量シーンは見応えのあるシーンですよね。あれは監督、CGではないですね?
曽利監督:
まったく使ってないですね。
MC: もう本当に彫刻のようでしたが、あのシーンを撮り終えた後はどうしたのですか?
伊勢谷さん:
僕は、次の日に5kg戻りました。抜けていた水分が戻ってそうなったと思うんですけど、「そんなに戻っちゃったのかよ!」とボクサー慣れしている香川さんに言われました(笑)。いまのボクサーは3kgとか、何kgまで戻っていいというのがあるらしいんですけど、僕は水ぶくれしてしまいましたね。
MC: 梅津トレーナーが「二人は優しすぎるから、闘争心が足りない。それを植え付けるのが一番苦労した」と言っていましたけれども、闘争心に目覚める瞬間はありましたか?
山下さん:
僕は、お腹を思い切り殴られた時に「痛えな、この野郎」と。
伊勢谷さん:
キレてたね、あの時(笑)。
山下さん:
僕、さっき映像を観させてもらったんですけど、初めて自分が「あ、怒ってる!」という顔を見ました(笑)。芝居では怒ったことはありますけど、プライベートで怒ることがないので、これが闘争心なんだと思いました。
MC: そういった現場を実際に見ていて、香里奈さんは紅一点としてどう思いましたか?
香里奈さん:
本当に男の方が多い現場で、内容も内容ですし、減量もされてるし、二人の前でお弁当を食べたりお茶を飲むのも悪いなと思ったりしました。お茶やお水は普段なら普通に飲むものなので、飲んでしまった後に「あ、ごめんなさい」と思ったりして、そういう普通のことを我慢するってすごく大変なことだし、見ていて大変そうだなと思いながら申し訳ない気持ちになっていました。
MC: 矢吹と力石の関係は、女性からはどんな風に見えるものですか?
香里奈さん:
「なんでそこまで二人とも執着するんだろう?」と思うんですけど、それがだんだん見ているうちに羨ましくなってきて、「あ、いいな」と思ったりしました。女の人同士ではないような絆なんだなと、すごく感じました。
<役柄について話す伊勢谷さん、香川さん> |
MC: 30年来のボクシング鑑賞歴を誇る香川さんにとって、丹下段平という男はどういう男なのでしょうか?
香川さん:
監督がお二人を美しいと言ってましたが、そういう意味では丹下段平は世にも美しくない男ですよね(会場笑)。アル中での人生の裏街道まっしぐらな男です。僕もボクシングをずっと見てきましたけど、二人も本当にそれを心がけていて、例えばボクシング指導の梅津トレーナーから「伊勢谷さんのパンチが山下さんに入っちゃって現場が止まってる。激痛が走ってる。伊勢谷くんの拳も腫れてる」と、三日に一回ぐらい電話が入るんですよ。僕がちょっと違うことが入って現場からいなくなると電話が入ってくるので、「香川さん、現場にいてくれ」ということになって、いなくてもいいシーンもずっといたんですね。好きだからいられるんですけどね。
僕はさっきも言ったように一日に15時間ぐらいボクシングのことを考えてるけど、山下くんは一カ月前から始めたばかりですよ。それを、僕がガーッと言ったことを山下くんが全部こなしてくれたんです。本当に大変だったと思いますよ。最初に会った時に、「一食抜いたら、興行収入が1億円あがると思えよ」と言ったので、僕の前では飯食えなくなっちゃったんですよ(会場笑)。伊勢谷さんも途中からご飯食べないし、現場では完全に食べない、飲まない期間があって、撮影が終わっても山下くんは延々と腹筋をやってるんですよ。「この人、狂ってるなあ」と思いましたね。撮影は4月でまだ寒かったんですけど、裸でいるので寒い、(撮影で動くと)熱いの繰り返しで途中で山下くんが風邪をひいたんです。それでも筋トレをやめないので、それを見た伊勢谷くんも「よーし、燃えてきた」とか言って、横でスキッピングロープを始めたりして部活状態で楽しかったですね。ジョーの台詞にも、「周りからは気がおかしくなってると思われるぐらいの頑張りで乗り切れば今日なんだ」というのがあるんですけど、この二人が明日を目指して、今日という日を頑張ってる姿を横で見ていて素晴らしいと思いましたし、だからこそ最後は泣けるんですよね。漫画の世界を近くで見られて本当に良かったです。
MC: 香川さんが相当、現場でも盛り上げていたそうですが、それもあっての「あしたのジョー」だったのでしょうね。
山下さん:
そうですね。香川さんは僕にとっても段平でしたね。30数年のボクシング人生のすべてを僕に注いでくれたというか、本当に大切に見守ってくださったので、そのおかげでやり通せたんじゃないかなと思います。
伊勢谷さん:
リング脇で、フルメイキャップの人が映っていないのに大声出してるんですよ(笑)。メイキャップで(頭は)酸素が吸えない状態になってるにも関わらず、首もとだけ開けてむりやり酸素を流入させながら応援してるんですよ。バックアップしてくださって、「この人、本当におかしいな」と思いました。
香川さん:
あのメイキャップなのでまったく説得力がないんですよ。ジョーだけならまだしも、力石にも指導したりしてエキストラの方には「おお、段平が力石を指導している」と盛り上がってもらって本当に楽しかったです。
伊勢谷さん:
香川さんがこれだけ応援してくれるんだから、「あしたのジョー2」も頑張って。僕は出られないけど(笑)。
山下さん:
はい(笑)。
■ここで、原作のちばてつや先生からのメッセージが届けられました!
| ちばてつや先生(原作) |
| なんとか参加して私も一緒に試写会を観たかったんですけれども、事情がありまして行けなくて、とても残念です。本当に申し訳ない。 |
■実写映画化をOKした理由
ちば先生:
お話を持ってきたプロデューサーの方や監督さん、スタッフさんが、本当に熱く「あしたのジョー」のことを語ってくれたので、それに惹かれたということと、シナリオを何度か見させてもらったんですけど、心が揺れるシナリオだったんですね。
■映画を観た感想
ちば先生:
すごく安心したんですね。良くできてるじゃない! ジョーや、力石や、段平や、なりきってる俳優さんたちを見たら、みんなきっと納得してくれるだろうと思ってね。ホッとしたんですね。とても嬉しかったんです。その世界に入って、ドヤ街の住人たちと一緒にワーワー応援したかったですね。ああいうのを観た後に描いていたら、もっとリアルな「あしたのジョー」の世界が描けたんじゃないかと思って悔しかったですね。もう一回描いてみたいなという気持ちもあったし、ちょっと悔しいなと思いましたね。
■山下さん、伊勢谷さんについて
ちば先生:
(初めて二人を見たとき)山下さんも伊勢谷さんもプライベートな衣装だったと思います。それでも、「力石がいる。あ、ジョーがいる!」と思ったぐらい、二人が役になっていたというか、体を絞っていて本当にボクサーになってましたね。目もそうだし、体もそうだし。「ああ、これはいい映画ができそうだな」と期待してました。
■香里奈さんについて
ちば先生:
深窓の令嬢という感じで、目の演技がすごかったですね。力石を見る目と、ジョーを見る目が、言葉ではうまく言えないんですけど、微妙に違う。その辺の演技がとてもすごいなと思いました。
■香川さんについて
ちば先生:
丹下段平そのものになりきってましたね。本当に酒臭い感じがしました。飲んでないんですけどね(笑)。側に寄ったら酒臭いんじゃないかと。鼻の頭を少し赤くしてね。本当に段平になりきってくれて「ありがとう」という感じでした。
■メッセージ
ちば先生:
力石もジョーも段平も、その役になりきっていい演技をしてくれたと思いますし、いい映画になったと思います。(共同原作者の)高森朝雄さんもきっと一緒に喜んでくれると思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
MC: これ以上ないお褒めの言葉だったのではないでしょうか?
山下さん:
そうですね。もう本当に頑張って良かったなと思います。ちば先生に「ジョーがいる、力石がいる」と思ってもらえたということは、本当にすごいことだと思うし、すごく嬉しいです。
伊勢谷さん:
原作者のちばさんにそう言っていただけるのはこの上ない喜びではあるんですが、それを超えるファンの方もいらっしゃると思うので、その方々の意見が怖くもあり楽しみでもあるといった気持ちです。すごく勇気づけられました。
MC: ちば先生が目の演技について触れていましたが、その辺りは意識したのでしょうか?
香里奈さん:
葉子が、力石とジョーの間で揺れ動く感情や、思いの変化を出すのはすごく難しいお芝居だなと感じていたので、その辺は自分で思っていた以上に見方が違ったのかなと思いました。
香川さん:
改めてちば先生にこういうお言葉をいただいて、ちば先生と高森先生がOKを出してくださらなかったら、この映画もできなかったと思うと、本当にそのOKを出してやっていいよと仰ってくださったちば先生に感謝したいです。こういうお言葉をいただいたのはこの上なく光栄に感じますね。
MC: また、終盤にかけて畳み掛けてくるんですよね。
香川さん:
力石は実際に葬儀が行われていますからね。ほぼ実在の人物ですから。力石がいなくなって寂しいドヤ街の空気の中、ラストシーンに向けていいんですよね。実際に演じた時も、僕自身、哀しいけど嬉しい本当に複雑な感情がありました。ドヤ街も素晴らしいロケセットを川口のSKIPシティに組んでいただいたので、ラストシーンは本当に見逃せないと思いますね。先生も仰っていましたが、本当に良い脚本だったと思います。
マスコミによる質疑応答
Q: 過酷な撮影だったと思いますが、この映画で得たものを教えてください。
山下さん:
何か一つのことに没頭する時間を持てたということですね。これまでも本気でやってきたつもりだったんですけど、さらにその上があるということを知ることができました。
伊勢谷さん:
僕らの力石vsジョー戦以外に、相手をしてくれた本当のボクサーの方たちが、撮影後の試合でみんな勝っているんですね。その方々と同じリングの上に立って、殴らせていただくんですけれども、その強靭さに僕はビックリしました。ボクシングというスポーツは、日本では金銭的に恵まれていない面があるんですけれども、それにも関わらず自分が目指す一番というものを突き詰めていくという姿勢、お金じゃなく情熱という価値観を持って進んでいる強靭な精神力と肉体をすごくリスペクトしています。撮影の途中で長谷川(穂積)さんの試合があったんですけれど、ボクシングを始めてから初めてまともに見る試合だったので、ものすごく自分に入ってくるものが大きくて、本当にボクサーという命を賭けた職業の存在感が胸に刺さりました。
香里奈さん:
私は減量をしていた訳ではないんですが、そうやって一つの目標に向かって一生懸命やることで何かが叶うというか、お二人の減量のように、思いが強ければ強いほどなんでもできるんだなということを、すごく間近で感じられたことかなと思います。
香川さん:
僕はボクシング関係者が俳優をやっているようなものですから、こういう場を与えていただいたことがプレゼントで、毎日何かを得ていましたね。ほぼ夢のようです。毎日、ジョーのトランクスに「J」の文字があるなとか、力石のガウンを勝手に着ちゃったりとか(会場笑)。プチ力石になってみようと、段平メイクをする前に着させてもらったりして、「これ、力石いけるな」という毎日だったので、僕にとっては毎日が得るものでした。
Q: お互いにストイックだなと思った瞬間と、撮影中に密かに楽しみにしていたことを教えてください。
山下さん:
やっぱり伊勢谷さんは力石役ということで、僕以上に減量が必要で、何日間か絶食されていたことですね。それができる精神力は、普通ではできないと思うので、すごくストイックな人だなと思いました。楽しみにしていたことは、撮影が終わってご飯が食べられることですね。撮影中は「どっちみち、明日も食べられないし」というのがあって、ボクシングをやって忘れるというのが自分の中で大きかったです。とにかく食べ物に対してすごく執着してました。本当にお腹が空いてましたからね。
伊勢谷さん:
山下さんは、風邪をひいても筋トレを止めないんですよね。僕、34歳なんですよ。プロボクサーの免許も取れない年齢で始めているので、腰痛という爆弾も背負いつつ一日やって、「さあ、帰ろう」と思ったら、そこで腹筋やってるジョーがいるんですよ。「もう止めようよ!」と言いたいんですけど、ジョーがやるんだったら俺もやらなきゃということになって、そういう刺激をすごく受けてましたね。本当にこの人、腹筋バカなのかなと(笑)。腹筋で洗濯できるぐらい、腹筋してましたから。
香川さん:
縦だけじゃなくて、横もやったり、ずっとやってるんだよね。
山下さん:
クセになっちゃって(笑)。
伊勢谷さん:
でしょう。楽しそうだったもん(笑)。こっちは腰が痛いのに。
山下さん:
やらないと気持ち悪くなっちゃって。翌日不安になっちゃうので(笑)。
Q: そんな中での伊勢谷さんの楽しみは?。
伊勢谷さん:
減量が極端なところに行った時に、キウイとレモンを一個ずつ食べていいと。それが何日間か続いていまして、いかにキウイを食べごたえのあるようにカットするか、レモンの白い部分の大事な栄養をとろうか、それが幸せでしたね。あと、大量のクエン酸を飲んでいたんです。あれ、効きますね。めちゃくちゃ酸っぱくて、毛穴が開くんですけど、そこからまたちょっと行けるので疲れた時のクエン酸が良かったですね。
香川さん:
映画撮影用のライトなので、リング上は本当にバカみたいに熱いんですよ。僕はセコンドでワーワー言ってるんですけど、「ちょっと違うから」と中に入っていくと、20度ぐらい違うんですよね。その中を水も飲まないで10日間以上もやっていたというのは本当にすごいですね。計量のシーンの伊勢谷さんのお腹は、記者の人に「CGにしてもあれはやりすぎでしょう」と言われたんですけど、(CGじゃなくて)本物の体なんです。人間のお腹って、あそこまで引っ込むんだというぐらい。もう、エイリアンが一個、ごっそり抜けたみたいだもんね(会場笑)。すごいですよね。あのシーンだけでもすごいと思います。
舞台挨拶(挨拶順)
| 山下智久さん(矢吹丈役) |
| 今日はお忙しい中、皆さんに集まっていただけたことをすごく感謝しています。これから観ていただきますが、一生懸命、スタッフ・キャストの皆さんと作ったので、期待してほしいなと思います。 |
| 伊勢谷友介さん(力石徹役) |

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こうやって「あしたのジョー」を観ていただくのは、たぶん皆さんが一般のお客さんでは初めてだと思うんですよね。本当に楽しみにしてきました。たくさんのいろいろな思いが詰め込まれた映画です。楽しんでいただけたら、その思いを持ち帰ってほしいと思います。 |
| 香里奈さん(白木葉子役) |

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この映画は男の人が多い映画で、私はほとんど女一人という感じですごく寂しかったんです。そしてジョーと力石の間で揺れ動く感じを表現するのがすごく難しかったんですが、二人の愛情に似た友情を影で支えながら見守って撮影に挑んでいました。ぜひ楽しんでいってください。 |
| 香川照之さん(丹下段平役) |

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僕の世代にとっては、映画化するのは恐れ多い神聖な原作をついに映画にしてしまいました。本当に禁断の一線を踏み越えてしまった映画だと思います。ついに公開になります。原作の漫画をご覧になっている方にはあまりに有名なキャラクターなんですが、僕が演じている丹下段平という男は、漫画を読んでない方にはなんのことやら分からない外見なんですよ。映画が始まってからしばらくして変なおじさんが出てくるんですけど、それが僕です(会場笑)。僕と似ても似つかない人が出てくるので、「香川、出てなかったじゃないか」という話になると困るので、一応言っておきます(会場笑)。まあ、そういう風に僕もすごく作り込んだんですけれども、山下くんと伊勢谷くんの二人は毎日、毎日、裸で殴り合って大変だったなと思います。山下くんと伊勢谷くん、映画の中の半分以上は裸ですので、本当に楽しみにしていただきたいと思います(会場笑)。いい映画になってます。ゆっくり楽しんでください。 |
| 勝矢さん(西 寛一/マンモス西役) |

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マンモス西をやっていた頃よりも、いま20kgも太っています(会場笑)。男と男が裸で戦っているのがこんなに格好いいんだということを再確認できる映画だと思います。本当に楽しみにしていてください。 |
| 曽利文彦監督 |

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完成に至るまで本当に苦労の多い映画でしたけれども、今日ここで皆さんに完成を報告することができて感無量です。この映画は、もちろんスタッフも頑張りましたけれども、ここに揃っているキャストの皆さんの力がなければ、映画化は本当に不可能だったと思います。キャストの皆さんが持てる力をすべて振り絞ってかけていただいたと思っています。自分もその気持ちについていくような形で監督させていただきました。この素晴らしい人間の力を、今日は皆さんに観ていただきたいと思います。 |
MC: 力石との激闘が注目されていますが、どんな雰囲気で撮影したのですか?
山下さん:
ボクシングは本当に危険なスポーツなので、一手一手確認して集中してやりました。一つ間違えるとすごい大怪我に繋がってしまう危険な撮影だったので、集中して練習の成果をリングの上でぶつけるぞという気持ちで臨んでいました。
MC: 実際に打ち合ってますよね!
山下さん:
そうですね。ボクシングは熱いスポーツなので、失礼のないように向き合っていました。
伊勢谷さん:
打ったものが返ってくると気持ちいいんですね。僕はリングの上で山下くんと打ち合ったんですけれども、実はその周りで香川さんと、勝矢さんが散々吠えてくれていたんですね、カメラの回らないところで。そうやって頑張ってくださった思いがリングの上にも影響して、熱のあるお芝居をできたのではないかと思います。
MC: 撮影中は伊勢谷さんとどんなお話をしていたんですか?
山下さん:
会話というよりは、次の試合の打ち合わせというか、とにかくもうボクシングのことしか考えていなかったと思います。
伊勢谷さん:
必死になって(パンチを)食らったよな。
山下さん:
こんなにパンチって痛いんだという経験をしましたし、原作のファンの方にも失礼のないようにやらせていただきました。
MC: ご自身と矢吹丈とを照らし合わせてみて、似ている部分はありますでしょうか?
山下さん:
一つ、あえて挙げるとしたら、目標を立ててそこに向かって進んでいくというのが、ジョーには及びませんけれども、似ているかなと思います。
MC: お二人とも「頑張った」と言わないんですが、間近で見ていると、お二人の頑張りぶりというのは伝わってきましたよね?
香川さん:
これから皆さんがご覧になる矢吹丈と力石徹の試合がクライマックスなんですけれども、試合のシーンは全部で10日間ぐらいで撮ったんでしたよね。一日が始まって温まって終わって、次の日になると体も温まっていないし、前の日の熱さやテンションを繋げなきゃならないので、まずこの二人はお互いのボディを「せーの」と言いながら殴り合うんですよ。もちろん、カメラの回っていないところで。10発ぐらい雄叫びあげながら殴り合う、それが朝イチで行われているのを見ると、僕はボクシングが好きなんですけれども、選手の役じゃなくて良かったなと思いましたね(会場笑)。トークだけでいい訳ですからね。「あっち行け」とか「足使え」とか。
MC: でも、特殊メイクには2時間半ぐらいかけていたと聞いていますよ。
香川さん:
僕はお笑い担当なので、笑っていただければそれで。お二人が真剣にやられていることは分かっていたので、僕自身にかけられる負荷は何かと考えた時に、2時間以上かけて本物になりきろうと。それはやって良かったなと思っています。
MC: 力石徹を演じた伊勢谷さんから見て、矢吹丈の魅力はどこにあると思いますか?
伊勢谷さん:
僕が思うに、矢吹丈って、上の人も下の人もイーブンに見ていると思うんですよね。それでたまたま拳闘というルールの中で僕(力石)と目があって、僕(力石)はもともとボクシングをやっていたから楽勝のはずだったんですけれども、思ったより器が大きかったんですよね。
MC: 戦いには闘争心が必要だと思うんですが、どうやって闘争心をかき立てていったのでしょうか?
山下さん:
最初は人の顔を殴るのが怖いんですよ。ためらいがあってなかなか殴れない僕に、トレーナーの先生がふいにお腹にバンとパンチを入れて、プチンと切れて「なにくそ!」と怒りの力を借りていました。毎日、一日一回はキレてたんですよね、僕(会場笑)。最近の人って、70年代の人に比べたら、いっぱい心にフィルターがかかっていると思うんですけど、そういうものを全部一度はずして、とにかく感じたものをダイレクトに出すことを心がけていました。
MC: 香里奈さんから見て、この二人の男というのはどう映っていましたか?
<矢吹丈と力石徹の魅力を語る香里奈さん> |
香里奈さん:
二人の恋愛映画なんじゃないかと思うぐらい、お互いの執着がすごくて。でも、それを見ているうちにだんだん惹かれていくというか。本当に役になりきっているし、体つきもどんどん変わっていくし、すごいなと感心していました。
MC: 女性からみて、矢吹丈と力石徹というのは、どちらに魅力を感じますか?
香里奈さん:
えーっ(笑)!
伊勢谷さん:
(一歩、歩み出る伊勢谷さんに会場笑)
香里奈さん:
葉子としては力石側についているんですけれども、ジョーの何を考えているのか分からないところや、突拍子もないことをするところに、どんどん惹かれていくんだと思います。どうなんでしょう(笑)?
伊勢谷さん:
それって、ジョーってことだよね(笑)。
山下さん:
嬉しいです(会場笑)。まったく別のタイプなので、どっちにも魅力があると思います。
MC: お二人が減量で大変な思いをされている中、勝矢さんはどんな風に過ごしていましたか(会場笑)?
勝矢さん:
本当に申し訳なかったですね。出ることが決まった時にも、「この錚々たるメンバーの中に入れていただいて、ありがとうございます!」という感じだったんですけれども、二人は減量してマジで殴り合ってるし、香川さんは2時間ぐらいかけてメイクしてるし、僕は飯食って、香里奈さんが来たら「どうも、どうも」なんて言って、本当に楽しい現場だったんですよね(会場笑)。
MC: さすがにお二人の前でお弁当を食べたりはしていないですよね?
<撮影現場でのエピソードを披露する勝矢さん> |
勝矢さん:
余ったお弁当を食べたり(笑)。
伊勢谷さん:
現場にずっといてくれて、僕らを温めてくれていたんですよ。
山下さん:
そうなんですよ。僕、途中でマッサージをしてもらいました。
勝矢さん:
それぐらいしかやれることがなかったので(笑)。
MC: 監督はこれまでCGなどを多用していましたが、今回はあえてリアルさにこだわったそうですね。今のお気持ちはいかがですか?
曽利監督:
原作がすごく巨大なので、中途半端なことでは許してもらえないと分かっていました。ですから、メインのキャストの山下くん、伊勢谷くんに本気で殴り合う、そこがポイントだと思っていたんですね。皆さん、これからご覧いただきますけれども、マジで殴り合ってます。こうやってわきあいあいと壇上に立ってますけれども、リング上にはかなり殺気が漂っていました。本気で殴り合っていると、もう止まらないんですね。それをどこで止めるかが僕の仕事でした。だから非常に危険な撮影だったんですね。一歩間違うと、大事故に繋がっていたかもしれない。だけど、そういう中で彼らは勇気を持って殴り合っていました。そこにいつ割って入ろうかと思っていたんですが、横で香川さんが「もっといけ」と言っていたので、なかなか止められませんでした(会場笑)。
香川さん:
本当に申し訳ございませんでした(会場笑)。
曽利監督:
でも、それぐらい画面を通して伝わると信じています。CGなども使っていますけれども、それにも増してそれを凌駕する人の力というものが皆さんに熱く伝わると思います。この二人のボクシング、一発一発が言葉を超越しています。もう本当に拳で会話しているぐらいの人間力が、皆さんにパワーを与えてくれると思います。「あしたのジョー」は男臭い映画とお思いでしょうけれども、それを飛び越えて人間臭い映画に仕上がったと思っています。人として、自分自身がこういう世界に学んだと思える映画になりました。
■最後に、山下さんからメッセージが送られました!
山下さん:
散々言葉で言ってきましたけれども、言葉を超えた何か、気持ちだけで感じ取れる何かがたくさん詰まっていると思います。僕たちの演技も含め、照明の一つ一つにもこだわって、みんなで一生懸命気持ちを込めて作った作品です。2時間、何も考えず素直な気持ちで観てもらえたらなと思います。今日はありがとうございました。
「あしたのジョー」公式サイト