映画トピックス
 
ゴジラが、恩師、伊福部昭先生の卒寿をお祝い

 
2004年5月31日



<ゴジラから伊福部先生に花束が>
「ゴジラ」の歴史を語る上で、日本人なら誰もが知っている「ゴジラのテーマ」をはじめ、シリーズのために数々の名曲を作曲して下さった、伊福部昭先生の名を外すことは出来ません。

その伊福部先生が、5月31日に90歳のお誕生日を迎えたのを記念し、日本フィルハーモニー交響楽団が、先生の曲を紹介するバースデイ・コンサートをサントリーホール(東京・赤坂)にて開催しました。

このお祝いにゴジラが駆け付け、威厳あるテーマ曲を作曲してくれた恩師に感謝の花束を手渡しました。

また、併せて行われた会見では、伊福部先生の口からゴジラの鳴き声が誕生したいきさつなど、貴重な裏話が語られました。その模様をレポートいたします。


【 記者会見 】


Q:卒業のコンサートを迎えた心境を教えて下さい

伊福部昭先生:
本日で90歳の誕生日を迎えましたが、日本フィルハーモニーさんなど、色々な方々が今日の演奏会を応援して下さいました。私の立ち上がりは、1935年にフランスのパリでチェレプニン賞をいただいた時になると思いますが、当時はヨーロッパでは賞をもらったものの、日本では評判が悪く、それから10年ほどは少しおかしい作曲家だと思われていたようです。

戦争が終わり、その後「ゴジラ」の音楽を手掛けましたが、音楽の世界では「彼は音楽作家ではない」などと冷たい目で見られた時期もありました。しかし、1980年頃から主として「ゴジラ」ファンの皆さんが後援して下さったので雰囲気が変わり、今日に至りました。

今日は1番古い作品の「日本狂詩曲」や、演奏にオーケストラが必要な作品を全てまとめて演奏して下さるそうですが、あまり考えたこともなかったので、皆さんのご理解とご努力によるものと、身に余る光栄だと存じます。

Q:「ゴジラ」シリーズが今年で最後を迎えますが、ご感想があれば教えて下さい。

伊福部先生:
「ゴジラ」シリーズが今年で50周年を迎えるそうですが、私の考えでは、本来ゴジラは1万年くらい生きて、その次に平和の鳥であるハトになり、世界中を飛び回って欲しいものだと思います。

また、50年でやめてしまうのは非常に残念だと思います。50年はかなり長い時間ですが、第1作からかなりの数の作品で一緒に過ごして来たので、今回で身を引かれるという話を聞き、愛惜に堪えない気持ちです。周囲の人からは、やはりゴジラの名前が多く出るので、自分の身と同じような感じも持っています。ですから、今後何らかの形で発展することを願っています。

Q:「ゴジラ」の音楽を手掛けて来た中で、思い出やエピソードがあれば教えて下さい。

伊福部先生:

私は元々生物が好きだったので、最初に脚本を読んだ時に引き受けることにしました。すると同僚や先輩の作曲家から「ゲテモノをやると音楽生命が終わるよ」と、何回か注意されました。

結局、私は生物が好きで仕方がなかったので引き受けたのですが、50年経ってみたらゴジラそのものがゲテモノではなく、文化史的にも重要な存在になっているので、私としては「ゴジラ」の音楽に携わることが出来て大変よかったなと思っています。

また、ゴジラの鳴き声をどのようにして作ったのか皆さんによく聞かれるのですが、1番最初にどの動物が最もグロテスクかを考えました。そして、ゴイサギという鳥の鳴き声がなかなか不気味な感じがしましたので、東宝のスタッフがゴイサギの鳴き声を動物園に行って録音して来てくれたのですが、首が細かったせいか、結局鳥類の鳴き声にしか聞こえなかったんです。

ライオンや他の動物も試してみたのですが、やはり結果は同じでした。また、ゴジラは見た目は爬虫類に見えますが、爬虫類は一般的には泣きません。「一体、どうしたものだろう」と頭を悩ませていたのですが、ゴジラが口から放射能光線を吐くことになった時に、音ももっと人工的なものにしてもいいだろうと考えました。

結局、コントラバスの弦を外し、それを松ヤニを付けた皮手袋で縦に引っ張って音を出したのですが、ゴジラも驚いたり悲しんだりしますので、その音を基礎に、電気チェーンソーの音などを混ぜて作りました。当時、東宝さんには優秀な効果スタッフがいっぱいいましたので、ああいった声を実現することが出来ました。今だにその音を使ってくれているそうです。

ちなみに、オーケストラのトロンボーンやチューバ担当の方からは、「伊福部の曲は吹く回数が多いし、脳しんとうを起こすから、金管担当はギャラを倍にしてもらわないと困る」と言われたこともありました(一同笑)。

一時は「もう来てもらえないのだろうか」などと思っていましたが、完成した「ゴジラ」が面白かったので、皆さん続けて来てくれるようになりました。

近年では「ゴジラのテーマ」を、K-1の佐竹雅昭選手が入場曲として使ってくれたり、電話の着メロですとか、パチンコで当たった時など、色々な場所で「ゴジラのテーマ」を聞くものですから、自分でも気恥ずかしいものがあります。私は90歳になりましたが、「あれからもう50年経ったのか」という感じです。

<最後は伊福部先生とゴジラが固い握手を交わしました>



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